『からくり探偵・百栗柿三郎』(伽古屋圭市・実業之日本社文庫)
大正時代の浅草。町のはずれにあるボロ家・百栗庵の主で発明家の柿三郎が、探偵稼業に踏み出した。冴えない風貌で発明は珍妙だが、科学的な調査や思考実験から導き出す推理は明晰!機械式招き猫の助手・お玉さんを連れ、女中の千代とともに"連続して発見されたバラバラ死体"や"幻術師の元から消えた弟子"などの謎に挑むが...。
前作『帝都探偵 謎解け乙女』で注目を集める著者が、大正という時代設定を自在に操り、「大正の平賀源内改め東京のホウムス、浅草が生んだ奇跡の名探偵」である発明家・百栗柿三郎を主人公に据えて描く、傑作"大正モダン"×本格ミステリー。
これは凄い...期待以上の大傑作!連作短編4話どれをとっても珠玉の一品ですが、個人的には第二話「あるべき死体」のバラバラ殺人の目的に衝撃を受けました...こんなの初めて!勿論物語の最後にも、ものすごい衝撃が待ってます!
「時代小説や、本格ミステリの敷居の高さを感じさせない」ことをテーマとしているとおり、ド本格でマニアが喜びそうな内容にもかかわらず、キャラやギャグでミステリーを初めて読む方でもめちゃめちゃ楽しめる親切設計。お見事!
時代や設定が実に巧く働いてるというか、これしかないというくらい絶妙。著者の優れた技巧は前作に増して冴えわたってる。ご本人は賞にさして関心無いようですが......いやこの作品は何か賞を獲るなり、脚光を浴びて欲しい。
これほどの作品を生みだすのにどんだけ血反吐はく思いをされたんでしょうか...それでもtwitterでは「ゆめたんの生足(*´﹃`*) ハァハァ」なんて笑いを誘うサービス精神の旺盛さ。こういうところもカッコイイんですよね。
そんな男前な伽古屋圭市さん最新刊『からくり探偵・百栗柿三郎』(実日文庫)絶賛発売中です!この大正モダンな本格ミステリーはミステリー史に残る傑作、と断言しちゃいます。ぜひお買い求めくださいませ!